臨床検査技師ってどんな仕事?

医療
 
私

こんにちは、旅する臨床検査技師です。

臨床検査技師という職業知っていますか?

医療ドラマにおいてもなかなか登場せず、患者さんとの接点もあまりない為、医療従事者の中でも特に知名度の低い職業でもあります(^_^;)

実はわたし自身も高校3年生の時に、進学先どうしようかなぁと迷っている時に初めて知った職業でもあります。

臨床検査技師ってどんな仕事なのか、簡単に説明していきます!

臨床検査技師とは

臨床検査技師とは国家資格であり、病院などの医療の現場において『検査』業務を行う職業のこと。

元々は医師が行なっていた検査業務ですが、医学の進歩などにより医師の仕事量が増えて負担が大きくなっていったことで、検査業務を専門に行う『臨床検査技師』という職業ができました。

 

放射線技師と間違えられがちですが、レントゲンやCTなど放射線を扱うのが放射線技師の仕事です。

しかし、MRIや超音波検査、眼底写真など放射線技師の行える業務と被るものも一部存在します。

 

臨床検査技師の業務内容

業務内容は大きく分けて2つ。検体検査生理検査に分けられますが、その業務内容は多岐に渡ります。

検体検査

読んで字の如く、検体を扱う業務です。

一言で検体検査と言ってもかなりの種類の業務があります。

詳細は以下の通り様々です。

生化学検査

血液中や尿中の様々な成分を調べる検査です。

血糖値、中性脂肪、尿酸など数多くの項目を、検査機器を使って測定します。

免疫検査

上の生化学検査と同じ部門で検査していることも多いです。

血中の肝炎ウィルスやHIV(エイズ)と言ったウィルスや腫瘍マーカー、ホルモンなどを検査機器を使って測定します。

血液学的検査

白血球、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板がどのくらいあるかを測定します。

また、顕微鏡で異常な血液像や細胞が無いか見たりもします。

一般検査

尿や便、脳脊髄液、胸水、腹水など血液以外の検体において検査をします。

1番多い業務としては、尿糖や尿タンパクなど尿中成分を検査機器で調べたり、顕微鏡で尿を見ることで尿中の細胞の種類分けなどをしています。

皆さんに1番身近なもので言えば、インフルエンザ検査もこの部門で検査していることが多いです。

微生物(細菌)検査

痰、便、尿など様々な検体中にどんな病原体(細菌)が存在しているのか、その病原体にはどんな抗生物質が効くのかを検査しています。

輸血検査

輸血での副作用を防ぐために、輸血をされる側の血液と血液製剤が合うのかを検査しています。

赤十字社から届けられる血液製剤の管理もこの部門が行なっています。

病理学検査

患者さんから採取した組織や細胞などを検査します。

手術中に採取した臓器の一部(組織)や、尿や腹水などの検体から標本を作り、それを顕微鏡で見ることでガンが無いかどうかを見ます。最終診断は検査技師ではなく病理医が行います。

死因解明のため、亡くなった方の解剖(病理解剖)を病理医の補助として立ち会うという業務もあります。

遺伝子・染色体検査

病院で行なっていることは少なく、主に受託検査会社などで行なっています。

遺伝子を解析して病気の発症リスクや薬の効果を調べたり、染色体を調べてその異常の有無を検査します。

生理検査

生理検査は、検体ではなく患者さんを直接検査する業務です。

・心電図検査・超音波検査(エコー)・脳波検査・筋電図検査・肺機能検査・眼底写真検査・聴力検査・MRI・脈波検査(PWV,ABI,TBI) など…

検体検査同じく、生理検査も多岐に渡ります。

MRIと超音波検査は放射線技師も検査でき、眼底写真検査は視能訓練士と放射線技師も検査できます。

その他(診療の補助業務)

上記2つの検査に加え、診療の補助業務として『採血』と『検体採取』も行うことができます。

採血に関しては看護師が行うことが多いですが、最近では臨床検査技師が行う病院がかなり増えています。

検体採取とは咽頭や皮膚、口腔などから検体を採取する業務であり、以前は看護師や医師の仕事でしたが平成27年から検査技師も行えるようになりました。

 

また、体外受精の際に行われる胚培養の業務も、臨床検査技師が行うことができます。

臨床検査技師になるには

臨床検査技師になるには、指定の大学や専門学校で3年以上学び、国家試験を受けて合格する必要があります。

国家試験は毎年2月の後半にあり、最終学年の年に受験します。全体の合格率は75%前後

試験は五者択一もしくは五者択二で構成され、全200問。60%以上の正解率で合格となります。

 

臨床検査技師の就職先

臨床検査技師の就職先は主に病院

他にクリニック、健診センターが選択肢に上がります。

また、臨床検査技師という資格を活かして医療機器メーカー(企業)で働く人もいます。

少数ではありますが、治験施設支援機構(SMO)で治験コーディネーターとしてや、製薬メーカーで臨床開発モニター(CRA)として働く人もいます。

臨床検査技師のメリット・デメリット

どの職業もそうですが、その仕事の良い点やちょっと良くない点があり、臨床検査技師も例外ではありません。

その点もしっかりぶっちゃけていきたいと思います。

メリット

就活が比較的ラク

臨床検査技師として病院やクリニックで働きたい場合、筆記試験と面接の2回で終わってしまう事が多いです。少ない場合だと面接1回で終わることもあります。

就職試験を受ける回数も、地域によっても変わってきますが1回で内定がもらえる事も多く、苦戦している子でも3~5回目で内定をもらえるケースが多いように感じます。

 

全国どこでも働ける

病院やクリニックなど、臨床検査技師が働ける職場は全国どこにでもあります。

結婚して夫の転勤に付いていく…といった場合でも引越し先で働く事ができます。

 

転勤がない

病院やクリニックに就職すれば滅多に転勤はありません。

母体のグループが大きい病院であればグループ内での異動があることもありますが、同じ市内や県内といった近場である事がほとんどです。

 

辞めても再就職しやすい

旅人にはもってこいのメリット。

国家資格なので、この資格さえあればいつでも働き口は見つかります。人手はどこも足りていないので、選ばなければすぐにでも働き始められます。

 

様々な性格の人に向いている

先にも述べたように、臨床検査技師の仕事内容は多岐にわたるため様々な性格の人に向いています。

人と接する事が得意であれば生理検査、単調な仕事が得意な人は生化学検査、手先が器用であれば病理標本を作成したりする病理検査…といった具合です。

 

他の医療従事者よりラク?

何をもってラクと言うかは分かれるところですが、看護師ほど体力面での負担は少ないです。

また大きい病院であれば夜間の勤務もありますが、多くの病院では「夜間も常に起きて働く夜勤」ではなく、「検査のオーダーが出たときだけ働く」当直制度のところがほとんどなので、そこまで負担はないでしょう。当直手当も出るので給料も上がります。

 

デメリット

給料が多くない

特別少ないわけではありませんが、国家試験に向けて必死に勉強し、人の命を扱う職業の割りには低いな〜というのが本音です…。また、昇給率もそこまで高くありません。

 

ミスが許されない

「常に」というわけではありませんが、人の命を背負って仕事をしている以上「間違えました」では済まないケースが多いです。

特に超音波検査では、臨床検査技師が病変部を見つけないとそのまま「異常なし」となってしまうため、私はそのプレッシャーに押し潰されそうになっていた時期がありました(汗)

 

生涯勉強

医学の世界は日々進化しています。そのため臨床検査技師も常に勉強が必要。

休日に勉強会や学会へ参加することも多々…

特に若いうちは、臨床検査技師とは別の認定資格試験(超音波検査士や細胞検査士など)を受ける人も多いので、勉強に追われることも。

 

機内で病人が出ても何もできない

私は『機内で病人が出る』というシチュエーションに出会ったことはありませんが、旅をしていれば今後出会う可能性は大いにあります。

が、医師と看護師でもなければ『医療従事者』とは言え、お役に立てることはあまり無いでしょう…悲しい…

 

まとめ

いかがでしたか?

まだまだ認知度の低い臨床検査技師ですが、旅人との相性は抜群。

旅が好き、医療にも興味があると言う人は、臨床検査技師という職業も選択肢のひとつに入れてみてはいかがでしょうか?

 

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